2010年03月17日

民主、参院選2人目は「若さ」と「女性」 2匹目のドジョウは?(産経新聞)

 民主党内に夏の参院選に対する危機感が急速に広がっている。鳩山由紀夫首相、北海道教職員組合(北教組)、小沢一郎幹事長にからむ「政治とカネ」の問題の影響が大きいが、その小沢氏は「若さ」と「女性」をキーワードに候補者決定を進めており、党内の批判などどこ吹く風といった様子だ。昨年の衆院選では「小沢ガールズ」旋風も手伝い、民主党を圧勝に導いたが、内閣支持率に加え民主党の政党支持率も低下する逆風の中で「2匹目のドジョウ」はいるのか−。

 今月4日、茨城県連会長の大畠章宏衆院議員らが国会内の幹事長室に出向き、茨城選挙区(改選数2)の2人目の候補者について、具体名をあげて公認を求めた。だが、小沢氏は「選挙は絶対に妥協しない。徹底的にやるからな」と述べ、了承しなかった。大畠氏が県連の意向として示したのが、60代の男性弁護士だったからだ。

 茨城選挙区は現職の郡司彰農水副大臣の公認が決まったが、2人目は未定。民主党は改選数2以上の選挙区には複数の候補者を擁立する方針。現職がいる選挙区の2人目は女性や若者を中心に擁立しているが、党や連合などの組織を重視する現職とは異なり、新人の当選には浮動票獲得が欠かせないと踏んでいるのだ。

 民主党は3日、第1次公認候補87人(選挙区47人、比例代表40人)を発表したが、選挙区の新人は19人。このうち女性は9人で、肩書はテレビリポーター、元アナウンサー、介護アドバイザー、弁護士などさまざまだ。

 小沢氏は昨年の衆院選で、青木愛、田中美絵子、福田衣里子氏ら若手女性を擁立し、メディアの話題をさらった。平成17年の郵政選挙での小泉純一郎元首相の「刺客作戦」を彷彿(ほうふつ)させるものだった。

 一方、年齢でも小沢氏は若年層にターゲットに参院候補の選定を進めている。1次公認の選挙区候補のうち、現職は28人で平均年齢は55歳。新人19人の平均年齢は43歳で、現職よりもひと回り若い。最年少は兵庫選挙区(改選数2)の元厚生労働省キャリア、三橋真記氏と鳥取選挙区(改選数1)の医師、坂野真理氏で、ともに32歳の女性だ。

 小沢氏の最近の地方行脚の多くは、候補者の擁立記者会見だ。鳥取選挙区の坂野氏の擁立では、5日に鳥取市内で記者会見し、「彼女のおじいさんの(自民党旧竹下派の)坂野重信先生(元自治相)のお世話になった。天の導きかと大変喜んでいる」と相好(そうごう)を崩した。

 8日には山形市内で、山形選挙区(改選数1)の新人、元防衛省キャリアの梅津庸成氏の擁立を発表し、「1人区の勝敗が過半数を目標とする選挙戦の大きな要素だ」と引き締めを図った。9日は名古屋市で、愛知選挙区(改選数3)の新人として東京財団研究員の安井美沙子氏の擁立を発表し、女性新人は10人となった。

 党内にくすぶる幹事長辞任論の中、それを振り払うかのように、小沢氏は「参院選」にのめり込んでいる。(坂井広志)

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2010年03月12日

【同盟弱体化】第1部 美辞麗句の陰で(5)迷走「苦は楽の種」なるか(産経新聞)

 「楽は苦の種、苦は楽の種です」

 「どういう意味ですか」

 「『苦』の後に幸せがあるということです」

 2日夜、都内のホテルの一室。官房長官、平野博文が米駐日大使、ジョン・ルースと食事をともにしながらかわした会話だ。

 首相、鳩山由紀夫が掲げる5月末までの米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)移設決着に向け厳しい局面にさしかかっているものの、これを乗り切った暁には日米同盟はより緊密になる。平野はこう言いたかったようだ。

 会談が明るみに出た4日午前、首相サイドから問い合わせを受けた平野は「一般的な会談であった」と返答した。この後の記者会見で、事前にルースとの会談を鳩山に伝えていなかったかと聞かれると、「いちいち外で会う人について報告してませんから」と平野はぶっきらぼうに答えた。

 「自分の権力を見せつけようとして、余計なことを言ってしまうんだよね。首相が苦しんでいるのに」

 首相周辺は苦々しげに語る。

 不快感を示したのは首相周辺だけでなかった。上京中だった沖縄県知事、仲井真弘多は5日、「ここまで時間がたって現地に説明しようとしないのは意味不明」と平野を批判した。

 沖縄、米国、与党ー鳩山は複雑な利害が絡み合う移設問題の調整を平野に任せた。しかし、鳩山、平野ともに平成8年に普天間返還合意にこぎつけた首相、橋本龍太郎、官房長官、梶山静六(ともに故人)のような信頼関係を沖縄と築けていない。

                  ◆◇◆

 米ワシントンからポトマック川を隔てた対岸にある国防総省の一室。2月1日に米政府が発表した「4年ごとの国防計画の見直し(QDR)」の事前説明の席で、同省当局者は日本政府当局者に対し、ミサイル防衛(MD)分野での一層の協力に期待感を示した。

 QDRと同時に出されたMD見直し報告書は、MD分野での日米協力を「極めて優れた例」と評価した。

 昨年11月、鳩山が米大統領バラク・オバマとの会談で提案し、2月に始まった同盟深化のための協議でもMDが主要テーマだ。

 だが、弾道ミサイルを迎撃する地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の追加配備に外相、岡田克也らから慎重論が相次いだ。鳩山は追加配備を見送った。

 「タブーに挑戦するような議論をしてほしい」

 鳩山は2月18日に開かれた有識者会議「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合で、活発な議論を求めたが、集団的自衛権の行使を禁じたとする憲法解釈の見直しに踏み込めるか疑問視する向きも強い。鳩山自身が解釈見直しについて「極めて慎重でなければいけない」と、消極的だからだ。

                  ◆◇◆

 「オザワさんの安全保障観はどういうものなのですか?」

 1月上旬に訪米した自民党政調会長、石破茂は国務次官補のカート・キャンベル、国防次官補のウォレス・グレグソンら米政府高官から、決まって「ハトヤマ」ではなく民主党幹事長、小沢一郎の安保観を尋ねられた。石破が「国連を世界政府と思っているようですよ」と伝えると、ある高官は「クレイジーだ」と吐き捨てるように言った。

 日本政府は11月に予定されているオバマの再来日にあわせて、同盟深化をうたう「新安保宣言」をまとめたい考えだ。しかし、米側からは鳩山と小沢が仕切る日本の安保政策に対する懐疑的な見方から、新宣言に慎重な声も出ている。

 オバマ政権に近い米シンクタンク外交問題評議会の上級研究員、シーラ・スミスは「1996年の(米大統領ビル・クリントンと首相橋本による)日米安保共同宣言は、冷戦終結後の同盟の変質に対応しようとしたもので必要性があった。今年が安保改定50周年だからといって、いま新宣言が必要ということを意味しない」と語る。

 3日の参院予算委員会。岡田は言った。

 「約1年かけて日米同盟の深化について議論を深める。共同声明か談話かで大きな違いがあるわけではない。そういうことにこだわらず、日米同盟をしっかりやっていけばいい」

 岡田が共同声明と談話の重みの違いを知らないはずがない。これからも普天間問題で迷走が続くことを見越して予防線を張ったのかもしれない。(敬称略)=第1部終わり

                   ◇

 この連載は高橋昌之、有元隆志、赤地真志帆、大谷次郎、加納宏幸、宮下日出男、田中靖人、尾崎良樹が担当しました。

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